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私は子供の頃、自然が豊かな郊外の町に住んでいました。そこには野生の動物や植物、そして昆虫やヘビなどもたくさんいて、黒後家グモやタランチュラ(オオツチグモ)といった毒グモもいました。 ある日の午後、道を歩いていた私は、ものすごく大きくて、ぞっとするような醜いタランチュラが足元を通り過ぎようとしているのを見つけました。驚いて立ち止まり、しばらくその様子を観察していました。 するとどこからか、大きな美しい羽を持った昆虫が 飛んできたのです。大きなとび色の羽は、広げると20cmほどもあり、胴体は柳のようにほっそりと優雅な姿をしていました。 初めて見たその昆虫のあまりの美しさに、私は思わず見とれてしまいました。 するとその昆虫はタランチュラのそばに舞い降り、タランチュラに針をつき刺したのです。タランチュラの体が麻痺していきました。そして美しい昆虫は、動かなくなったタランチュラをネットのようなものでくるんだ後、足にしっかりとつかんで飛び去っていきました。 その出来事から大分経ってから、私はその昆虫はタランチュラを大好物とする「タランチュラ羽虫」だったことを知りました。全身に黒い毛がびっしり生えていて、とてもおいしそうにも見えない、ぞっとするほど醜いタランチュラ。 自然界広しといえどもあんなものを好む生きものがいるとは 考えられません――そう、あの美しい昆虫、タランチュラ羽虫を除いては。あの昆虫にとってタランチュラは、世界で一番おいしそうに見えるご馳走なのです。 そのとき私は、地上に生きる私たちも、一人ひとりが誰かにとって特別な存在なのだと理解したのです。 ある人にとってはまったく魅力を感じない人でも、別の人にとっては、この上ない喜びを与えてくれる、かけがえのない存在なのだ、ということを。
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