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vol.27
「父の死に思うこと」
Letting Go

 少し前に父親を亡くしました。そのとき私の心に去来した思いをどう表したらいいものかわからないほど、いろいろな感情で心が混乱しました。父が病床にあった2ヶ月間、私はたびたび父のことを考え、涙が止まりませんでした。無意識のなかで、私は心の準備を進めていたのだと思います。人生の多くをともにしてきた親友であり、最大の「敵」との別れの瞬間に備えて。

 親と子の関係は、時として大変複雑なものです。ある家庭に生まれた子供は、成長の過程で両親の長所や才能を受け継ぐと同時に、両親の欠点やあやまった価値感や習慣も同時に刷り込まれてしまいます。両親の能力や視野の限界のなかで育てられた子供が大人になって親に超えられなかった限界に気づいても、それを克服することができなかった場合、それはそのまま自分の限界となって定着します。そして自分にも子供ができたとき、同じことをくり返すのです。

 こうして家族の抱える欠点や偏りは、親から子へ、子から孫へと家系の中でリレーされていきます。私たち全員が、多かれ少なかれ両親の超えられなかった「機能不全」を刷り込まれた状態で、これに気づき、修復するという課題を与えられているのです。

 歴史上には「聖人」と呼ばれる人がいますが、こういう人が地上に生まれると6代前のご先祖、そして6代あとの子孫にまで、その影響がおよぶと言われます。そこまで壮大ではなくても、私たちが親から授けられた機能不全を、自分の代で修復すれば、それまで受け継がれてきた欠点や偏りを子供に伝えずに済み、それ以降に脈々と続く家系、つまり子孫に対して大きな貢献をすることになるのです。

 私の父は、伝統的な女性蔑視(べっし)の文化のなかで育った人でした。ごく自然な流れとして、父の考える女性観は私の中に植えつけられていきました。若いころの私が職業上の成功を目指したとき、父の価値観が大きく立ちはだかり、自分の個性や才能を伸ばし、社会に対して自己主張をするようになるまでには大変な葛藤(かっとう)がありました。占星術家としての地位を築き、自由に著書やメディアを通じて広く社会にメッセージを発信するようになってからもなお、父の存在は依然として私の中である種の重圧として残っていました。女性の無限の可能性を否定し続けた父の存在がこの世から消えた今、私の中からどんなものが生まれるのか、われながら興味深いことです。

 親が亡くなると、生前の関係よりもずっと親密で癒やしに満ちた関係が生まれるものだと言われます。私と亡き父の関係について言えば、それは正しいような気がします。父が死んだ今になって、父が以前話したさりげない言葉の数々が、私の支えになっていたことに気づくことが多くなったからです。

 生涯を通じて感じていた父権の重圧が、父の死とともにすっきりとなくなるわけではありません。実際、私の人生のあちこちに男尊女卑の価値観がもたらした否定的な残骸(ざんがい)がたくさん残っています。けれども、父にかかわるすべてのことについて和解を求め、癒やしていこうという意思が今の私にはあります。生前にどれほどぶつかり、傷つけ合ってきた関係でも、和解と癒やしを求める姿勢を失わなければ、最終的には理解と愛情が生まれると信じています。人の宿命にかかわる問題には長い時間がかかるものです。









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