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vol.21
「夢は実現する運命にある」
Embracing Good Fortune

 少女の頃、私はよく白馬に乗った王子様と恋に落ちることを夢見ていました。ある日私は王子様と出会い、愛する王子様の住む世界に行って末永く幸せに暮らす……こんな物語を心に描いていたものでした。世の中には素敵なことがたくさんあったけれど、その夢だけは特別なものとして、心のなかに大切にしまってありました。

 やがて時がたち、大人になった私は、あの夢と現実の世界の間に立ちはだかる大きな違いに気づきました。私のまわりの人々の結婚は、私が少女時代に夢見たような恋とは程遠く、まったく異なる理由で結ばれているようでした。顔や身体など外見上の好みや、社会的地位・共通の目標があるから、果ては相手がお金持ちだからという理由まであり……あの王子様との愛の物語など、この地球上では起こり得ないのだと悟り、心にしまってあった大切な夢をあきらめた瞬間を、私は今でも覚えています。

 こうして私は別の対象に熱中するようになりました。占星術や精神世界分野の研究や仕事に打ち込み、能力を磨きながら、平和で愛に満ちた社会の実現を目指し、多くの人に力を与えようと心血を注ぎました。もちろんその合間に何度か恋もしましたが、仕事を放り出したくなるほどの恋の相手と出会ったことはありませんでした。もう少女の夢をあきらめ、世俗的な結びつきの恋でも良いと思っていたからかもしれません。

 ところが1年程前、ある変化が起きました。父と電話で恋愛の話をしながら、私はこんなことを言いました。「これまで、心から幸せを感じられるような恋をしたことがないわ」。その瞬間、何年も前に考えていたことがよみがえったのです。それは“私の魂が求めるようなロマンスが実現しないのは、ただ単に出会うべき人と出会っていないだけかもしれない”という啓示にも似た考えでした。

 私はそれまでの人生で『人が心に願うことはなんでも、この地上で実現する運命にある』ということを悟りました。そもそも心に浮かんだ願いというのは、その人の未来からやってきたイメージなのだと。人はそれぞれいろいろな夢を求め、手に入れるまでの過程で、みずからの運命と出会うのです。ゴールに至る途上でたくさんの経験を積んで人格を磨き、成長し、魂が覚醒していくのです。つまり人が生き方や命の真実に対する理解を深め、成長し、幸福な未来に至る軌道に乗るには、心に描く夢を追いかけるというルート以外にないのです。

 王子様の夢はきっと現実になる――そう気づいた私は、こんな決心をしました。『実現できない絵空事だったなら、そもそも夢に描くはずがない。だから、あの夢はいつか必ず実現する』と。それは実に大きな意識の変革でした。

 少女時代の夢を再び心に抱くようになった私は、現実が少しずつ変化し始めたことに気づきました。私は異性との関係を、これまでとは違った力学的な関係としてとらえるようになっていきました。新たな視点で見ると、つきあっていたボーイフレンドはある程度のニーズは満たしていたものの、ソウルメイトと呼べるような相手ではありませんでした。

 それから2ヶ月後、私は27年ぶりにある男性と再会しました。これほど感性の近い相手がいたなんて、と驚くほど、彼と私の相性はぴったりでした。初めて彼と出会った頃の私は『白馬の王子様なんて存在しない』と思っていたため、これほど深いところで理解し合える人だったことに気づきませんでしたが、今は違います。そして人生は進化を続け、今私は夢に見たあの『白馬の王子様』と一緒に暮らしています。そして、願っていた幸運が目の前に差し出され、それを“受けとめる”という課題に取り組んでいます。

 人は日々いろいろな決断をしますが、そのひとつひとつにとても重要な意味があります。あることが『不可能だ』という決断を下したとたんに、心の目は閉ざされ、1週間後にチャンスが訪れても目に入らなくなるものです。遠い昔に捨ててしまった夢を、大人になったあなたの心に取り戻し、再び実現に向かって行動を開始すると、今度は本当に叶うということが、あなたにもきっと起こります。

 幼い頃、あなたはどんな夢を抱いていましたか?








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