ミス・ペルセフォネーの西洋占星術研究
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No.4 西洋占星術の社会的役割

 西洋占星術は個人や企業、国などの命運を占うことで、現代社会における陰のアドバイザーとしての役割を担ってきました。占星術を社会に役立てるためには、そこに有益なアドバイスがなければなりません。また、西洋人の思想の核となる「人権の尊重や行動や言論の自由」を基本としながらも、「どんな運命でも努力や心がけ次第で変えられる」という思想を前提にアドバイスしていきます。

 西洋の哲学や宗教には輪廻(りんね)という概念は存在しません。魂が生まれ変わらないわけですから、前世も過去世も存在しないのです。生まれ落ちたときの環境、両親、兄弟、性格、顔や肉体的な特徴は、生まれた瞬間の星の配置によって決定されるため、どんな星の配置で生まれるかが、幸運と不運の分かれ目になります。

 また、生家や両親、兄弟、社会的な境遇は変えられませんが、後天的な努力によって運命は変えられる、というのが、陽の民族である西洋人の思想です。資本主義社会であれば、貧乏な家に生まれて片親に育てられても、本人の努力によって小説家にもなれますし、会社の社長、アイドルにだってなれます。顔は人並みでも、努力してダイエットしたり、メークやファッシャンなどを研究すれば、モデルにだってなれます。しかし、このように「運と努力は同じくらい重要」と考える西洋占星術の占いは、東洋の占星術師から見ると「自由度が高すぎて、運命がないに等しい」と言われる原因にもなっているようです。


 西洋人のポジティブシンキングは良いと思うのですが、「運命は自由に変えられる」というわけにはいかないと思います。がんばれるのかどうかさえも、星の影響で決まってしまうからです。
 占いは現実の努力や状況を超えたところに存在する、神が決めたルールや宇宙の法則を知ろうとする学問だと思います。


 西洋占星術では私たちの出生時の星の配置から、肉体的な特徴、性格、運命、環境などを読み取り、プログレスチャートを使って加齢による進歩、トランシットによって、いつ、どんな事件が起こるのかを未来予知します。この三枚のチャートによって、生まれてから死ぬまでの性格、環境、状況、事件を読み取っていくのです。氷山にたとえれば、氷山の海面から上のほうの部分となります。西洋占星術でわかることは、目に映るその人の状況であり、現実の社会的な状況です。しかも、運勢の良しあしについても、周囲の人が感じている現実の状況をストレートに読んでいくため、意外性が少ない結果になることが多いのです。

 インド占星術では氷山の下に隠れている潜在的な性格や運命を予言します。いくらアドバイスをしても、本人の意志では運命は変えられないのです。神によって定められた運命があるからこそ、われわれはそれを知りたいと思い、受け入れようとするのです。アドバイスをしたところで、過去の善行や悪行を消しゴムで消すことはできません。「運命は変わらない」というのが、宗教を基本としたインド占星術の思想です。運命を根底から変えるためには、現時点からの行いを改善し、そのカルマが初めて戻ってくる120年後ということになります。120年後に今の計画が実現されるのです。また、そのために必要なものは、信仰心とマントラとヤントラです。


 私はそれは正しいと思います。
 たとえ西洋占星術であろうと、基本的な運命は変えることができません。しかし、生まれ落ちたカーストによって、一生の可能性が限定されるインド人と比較すると、西洋人や日本人には多くの小さな可能性があることは事実ですよね。


 さて、西洋占星術のホロスコープとは、いったいどうやって読み取るのでしょうか? ネータルチャートに映し出された、ある人物の運命の青写真があります。そのチャートに書かれた状況は一生のうちに、それぞれ時期をずらしながら、すべての出来事が現実のものとなります。しかし、プログレッション(進行)により、性格や運勢の吉凶はわずかずつ変化し、時代背景のトランシットの影響も同時に受けながら、その結果が出るのです。

 このように、3つの異なる次元のパラメーターを重ね合わせながら、運勢の強さや弱さ、出来事を注意深く読み取っていきます。場合によっては、もって生まれた才能や力を十分に発揮しきれないまま、人生を終わってしまうこともあります。しかし、ネータルチャート、プログレスチャート、トランシットをつねに綿密に読めば、生まれた性格がいつごろ、どのように変化し、どういった事件が起こり、どういった人生の航路をたどるのかがわかります。ということは、優秀な占星術師がチャートを綿密に読みさえすれば、運命は決まっているに等しいということになります。


 占いは熟練した占星術師が時間をかけてきちんと分析し、読み取れば当たります。ただし、運命を変えるということは、なかなか、難しいと思います。かなり長期的で計画的な人生設計が必要です。

 また、占星術師に必要な才能は、学術的な研究能力、分析の熟練、正しい直感力。これが必要最低限の才能だと私は思います。


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