ミス・ペルセフォネーの西洋占星術研究
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No.3 西洋占星術とキリスト教の対立

 東洋で誕生した占星術の思想はヨーロッパ人たちの研究により、ギリシャ神話やローマ神話の神々たちと惑星たちが合体して、芸術的な進化を遂げました。その社会性の背後にはキリスト教の思想がありますが、実は、キリスト教とは占星術を否定している宗教です。神とはイエス・キリスト、ただひとりであり、ゼウスやアポロンやビーナスなどの多神は存在しないというのが、キリスト教の思想なのです。

 西洋占星術は神から切り離され、神の背後で進化することを余儀なくされてしまいました。占星術やタロット占い、錬金術などが、邪道、異端視され、秘術や神秘学といった闇の学問へと追いやられ、魔女狩りのターゲットにされたのはこういった理由です。
 もともと、宇宙の真理の解明を宿命として誕生した占星術ですが、西洋社会では占星術は神とは切り離され、異端視されて進化しました。それが、インド社会でヒンドゥー教と一体化して進化し続けた、インド占星術とは異なるところです。


 ひどいもので、占い師は魔女として異端視されていた時代もあります。魔女狩りが行われて、占い師が火あぶりにされた時代もあったのです。

 時代が時代ならば、ペルセフォネーも十字架につけられて、火あぶりにされていたかもしれません。


 世界の三大宗教のひとつであるキリスト教とともに、仏陀を教祖とする仏教も、占星術や占いを邪道視して禁止している宗教です。キリストも仏陀も、もともとは人間として生まれ、人間が悟りを開き、神や仏となっているところが共通しています。世界三大宗教は私たちの人間社会での生き方や、心のあり方を教理としており、仏教、キリスト教、イスラム教の教理の中心にいるのは、まさに人間社会に住む私たちです。

 キリスト教、仏教、イスラム教が、ほかの宗教に対して排他的になり、異なる宗教を拒絶し、宇宙の摂理そのものに意識を向けることができず、狭い視野しかもてなかった理由は、これらの宗教の教祖が、実は、もともとは人間だったからではないでしょうか?
 ではなぜ、人間が教祖の宗教は排他的なのでしょうか? それは、宗教がいつの時代も、政治と一体となって進化してきたからです。本来ならば純粋な宇宙の英知であるはずの宗教が、宇宙の英知とは異なる次元の、民族や国家をベースにした政治的なプロモーション活動と表裏一体となって存続し、神の名を借りて継承されていったためだと考えられます。

 2001年、アメリカのブッシュ大統領がイエス・キリストの名のもとにテロを阻止し、アフガニスタンやイラクを攻撃したこと。そして、フセイン元大統領がコーランの名のもとにイラク戦争でアメリカと戦ったことは、私たちの記憶に新しいところです。

 世界の三大宗教とは、キリスト教、イスラム教、仏教ですが、それらはつねに国家や民族、政治と一体化して進化してきました。民族や国家が作る社会に対して、規制を加えるものが法律であり、宗教の主な役割だったからです。政治にはいつの時代も、民衆を規制し統制するための、精神的な正義のルールが必要です。そういった精神的なベースを統御する役割を、キリスト教や仏教、イスラム教は背負ってきたのです。


 イエス・キリストも仏陀も実在する人物です。実在する人物だからこそ、これだけ多くの人間たちの共鳴が得られて、心の支えにもなり得たのかもしれませんね。でも、人間とは万能でも絶対的な存在でもありません。人知のおよばない宇宙全体の創造主に対して、もっと尊敬や畏怖(いふ)の念をもたなければならない、と思うのです。

 人類が月に降り立ち、火星を目指すこの時代に、「宇宙の中の地球」という惑星に住む「人間」といった、マクロ的な視点をもつことが大切だと思うのです。人類は万能感を捨てて、もっと謙虚にならなくてはいけないと思います。


 私たち人間が絶対だと思っている正義や法律は、実は絶対ではありません。正義や法律の判断基準でさえも、国家や民族によって大きく変わってしまうからです。正しさとは時と場合によって変わるのです。善悪はつねに相対性理論のように移り変わりますから、真理とは実は、民族や国家がつくった正義や法律の絶対性を否定する存在です。しかし、これは国家の権力者たちには、受け入れがたい事実だったことでしょう。

 もちろん、権力者に寄り添う、お抱え占星術師は、いつの時代も存在していました。しかし、真の占星術師とは、人類も地球も宇宙のほんの一部分でしかないことを知っており、宇宙を人類が思いのままにコントロールができないことを知っています。宇宙の意志は、人類という物質的な次元を超えたところにあり、神とは人間の力ではコントロールできない宇宙全体をコントロールする、とてつもなく大きな普遍の力だということを知っているのです。たとえ、私たち人間が宇宙のルールを学んだとしても、宇宙のすべてを創造し、コントロールすることはできません。

 人類の無力さを知っている占星術師は、異端の学問の追求者としてキリスト教徒から迫害され、東洋の宗教でも西洋の宗教でもない、独自の宇宙観をもつ占星術となりました。多くの研究者たちの手によって紆余曲折(うよきょくせつ)がくり返され、独自の発展を遂げてきたのです。

 占星術はその異なる思想と宗教によって、数千年の間に独自のスタイルを築き上げてきました。しかし、たとえ、宇宙の意志を変えることはできなくても、それを知ることはできます。嵐が来る前に家を直し、漁を休むべきであることを知っています。たとえ、それが人間のこざかしい知恵であろうと、運命をより合理的にコントロールしようとするのが、現在の占星術の思想といえるでしょう。

 占星術とは宇宙の中の地球という惑星に住む、人間の小ささと無力さを悟り、神に運命を委ね、その許されたわずかなテリトリーの中であっても、精いっぱい、今という時間を生き抜くことの大事さを教えます。合理的なスケジュールの調整によって、効率よく人生の向上を図るための知恵を与えます。しかし、西洋占星術においては、長い間「神の名を語ることができなかった」というところに、最大の弱点があるように思えるのです。


 占星術の最大の魅力とは、個人という小さな自分から、はるかかなたまで遠ざかって、神の目で人間たちを見ようとするところです。それが神の目から見た地球と人間たちが曼陀羅(まんだら)の絵やホロスコープチャートなのでしょうね。

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