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●ドラゴン・テイルの章
黄道公転周期約18年
☆ドラゴン・テイルが支配する事柄
過去世の負債の返済、放棄、解放、解脱、性欲、排泄欲、終わりのない放棄への欲求
☆ドラゴン・テイルが支配する人物
托鉢の僧侶、修験者、修行僧、乞食、僧兵、特攻隊、聖戦に参加する兵士
ドラゴン・テイルとは太陽の軌道と月の軌道が交差する下降点のことです。太陽と月の軌道の上昇点であるドラゴン・ヘッドの対極の位置にあり、竜の尾っぽの部分、つまり、下半身や生殖器などを支配しています。ドラゴン・テイルは『放棄したい』『手放したい』という欲望を支配し、純粋で解脱への意識に向かうための手助けをします。
ドラゴン・テイルは物質や形あるものに対してきわめて無関心な惑星です。『物質を手に入れたい』と望む欲求は皆無で、ただひたすら、『手放したい』と望む欲求だけがあるのです。
☆西洋占星術では金銭や物質を手放させるドラゴン・
テイルを過去世からの悪運の惑星とみなしています。
しかし、実際には海王星と冥王星をミックスしたよう
な、救済や悟りへと向かう性質を持っている、という
のがペルセフォネーのドラゴン・テイルに対する見解
です。
インド占星術ではドラゴン・テイルのことをケートゥと呼び、火星と似た星として扱っています。単独でいるよりも、そばに別の星がある時のほうがその力を発揮しやすく、近くにいる星の効力を最大限まで強める効果を持っています。
ドラゴン・テイルは入宮している室と星座に対して、極端な状況を作り出し、天と地のような差のある結果にします。良いか悪いかいずれかの状況に偏りやすく、その善し悪しが交互に訪れることが多いのです。その幸運と不運に関しては、入宮している室と星座、ほかの星とのアスペクト次第と言えるでしょう。
☆ある日突然、理由もなくお金や財産、家族、恋人、
結婚相手などを奪われてしまったら、『なんてアン
ラッキー』と多くの人は同情するでしょう。ところが
、それらのものを持っている時よりも、失ってからの
ほうが不思議と幸せということがあります。あなたは
そんな経験をしたことはありませんか?
ドラゴン・テイルの影響の下で私たちは『カルマ的な借金をひたすら返済し続けたい』という理由のない脅迫観念に駆られます。返済という行為は現世においては、無償で何かを与え、放棄し続ける行為です。それは忌まわしい出来事という人もいます。しかし、負債の返済がすべて終了したら、それは際限のない貯金へと変わるのです。つまり、すべての借りが返済された後、それらの善行が幸運をもたらし、真の意味での魂の解脱と心の平和が訪れるのが、ドラゴン・テイルの特徴と言えるでしょう。
たしかに宿命的な事件によって、金銭や物質を放棄させるドラゴン・テイルは、見方によっては不幸や不運の星かもしれません。この世の幸せのすべてが物質や金銭の豊かさだけにあるとすれば、金銭の損失、物質の放棄は害以外の何物でもありません。それはまさに不運をつかさどる影の惑星と呼ぶべきなのでしょう。
しかし、ときに私たちは努力なしの幸運に見えない落とし穴があることに気づかされます。反対に努力して得た金銭や物質を寄付したり、放棄する瞬間、私たちは言葉に尽くせない至福感を感じるのです。現実的にはボランティア活動は損害でしかありませんが、精神や心の世界においては、負債を返済している喜びや幸福を貯金している喜びが味わえるからです。
私たちの魂は進化や成長とともに、放棄し与えることの喜びの中にこそ、至福感があることを悟るようになります。おいしい料理、高価な持ち物、この世の美しいすべてのものを手に入れてもなお欲望の炎が収まらないことは、苦しみ以外の何物でもありません。感謝する。足ることを知る。求めない。そして手放すという行為。
私たちの魂は最後には宇宙と溶け合いひとつになるのです。ある種の修験者や僧侶、占星術師は、運命学の研究を通じて自我を手放すことを目的としています。『自分と他人はいっしょであり、喜びはときには悲しみであり、悲しみは実は幸福なのだ』と気づかされたとき、自我の放棄が始まり、人は解脱の道へと歩き始めるのです。
☆悟りや啓発の惑星でもあるドラゴン・テイルは、不
運を通じて私たちを真の幸福へと誘ってくれます。10
00円札を見つめて『1000円しかない』と嘆く人と『1
000円もある』と笑う人。あなたはどちらが幸せだと思
いますか? 1000円しか持っていなくても笑える人で
すよね。その人は足ることを知っていて、小さな幸せ
に満足できる心を持っているからです。100万円も持っ
ているのに『まだ、足りない』と自分の不幸を嘆いて
いる人はたくさんいます。ペルセフォネーはあるとき急
に気づいたのです。幸せな人と不幸な人との違いとは、
所有している幸福の分量ではなくて、自分に与えられ
たものに満足できる心を持っているかどうか、つまり
心の状態によって決まるのだということに……。
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