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●海王星の章
黄道公転周期164年288日
☆海王星が支配する事柄
夢、幻覚、幻想、あこがれ、博愛、理想、潜在意識、世代的な集合的美意識、映像、芸術、音楽、イマジネーション、哀れみや同情心、救済、過去の思い出、ボランティア活動
☆海王星が支配する人物
芸術家、音楽家、バレリーナ、アーティスト、医者、看護婦、キリスト、聖母マリア、老人
海王星は潜在意識や目には見えない美の世界をつかさどる惑星です。人々は海王星の影響を受けた対象に依存して陶酔します。金星が視覚をはじめとした五感で認知できる美しさを支配しているのに対して、海王星は自らの身を犠牲にする無償の愛や慈愛、献身的なやさしさといった、高次の愛の波動を支配しているのです。海王星は人間の悲しみや痛みに救いや慰めをほどこす星ですから、海王星の影響を受けた人物は高次の感受性や美意識、献身性に恵まれ、多くの人々の心をやさしく癒します。
また、海王星は悟りや啓発など宗教色の濃い惑星です。イエス・キリストは人類の原罪を背負ってゴルゴダの丘で十字架にはりつけになりました。仏陀はゴータマ・シッダッタという釈迦族の王子として生まれる前生に、子虎を食べようとしていた母虎に自分の肉体を差し出しました。このように個人としての欲得を捨てて、社会や不特定多数の人々に献身しようとする行為は、人間が悟りや啓発へと近づくうえで必要な自己犠牲です。海王星は無欲無私の行為や、高次の憐れみの感情も支配しており、神仏にも通じる波動を発し、天使、菩薩、如来のエネルギーをほうふつさせるものでもあります。
ところが、海王星には悪く作用すると幻覚や幻聴をもたらし、現実社会の苦労に対する免疫力を失わせる力もあります。つらい努力や現実から逃げて他人のやさしさに依存し、甘え、享楽におぼれ、堕落する危険性も秘めているのです。海王星は具体性や実体のない星ですから、幻に生きながら、過酷な現実を見つめることを嫌って、アルコールや麻薬におぼれていくのです。
☆海王星はユートピア願望を支配しているので、とき
には『そこにたどりつけば、何もかもうまくいく』と
いう錯覚や幻想をもたらします。蠍座の世代が抱いて
いる『美しいセックス』『究極の愛とはともに死ぬこ
と』といった幻想や、射手座の世代の『外国に行けば
何もかもうまくいく』『未知の世界が理想郷』といっ
た夢は海王星の幻想なんですよ。思い当たる人が多い
でしょう。
今生の愛や人生を超えた、人々のつながりを支配しているのが海王星ですが、ときには過去世や前世などのつながりが、今生の人生を大きく左右することがあります。愛する人の喜びが自分の喜びとなり、愛する人の悲しみや痛みが自分の痛みに感じられるその瞬間、ふたりは一心同体といえるのかもしれません。他人との存在の境界線がなくなってしまうときには、海王星の催眠効果が大きく影響するのです。
海王星は芸術をつかさどっていますが、芸術作品とはその作品だけが放つ強烈なメッセージ性や、第六感に訴えかける波動があるかどうかで決まります。芸術家が愛する人に愛を伝えるために創作した作品や、ある特定の思いが封じ込められた作品には、その作品を鑑賞した人の心の集合的無意識の領域に働きかけ、深い陶酔感をもたらし心を慰めるのです。
海王星の領域には欲のない無垢な情動や感動があり、さらに、海王星の支配下に同情心があります。同情心とは高次な愛の感情です。同情心にはなんの下心も欲得も打算もありません。見ず知らずの他人の悲しみや不幸に共感し、涙を流し、『その悲しみを癒したい』という強い思いや『苦しみを代わってあげたい』という無私の奉仕精神には、この世のあらゆるものの悲しみや怒りを浄化する働きがあるのです。
☆最近、テレビを見ていて涙を流すことが多くなりま
した。とくにドキュメンタリーものや報道番組。ペッ
トの病気や死、戦争やテロの犠牲になった人たちの姿
を見るたびに、はらはらと涙がこぼれて止まりません。
何もしてあげられない自分の無力さ、過酷な運命の犠
牲となった人たち対する同情心が涙に変わるのです。
逆に、障害を持った人たちが明るく生きている姿には、
癒され、生きる勇気をもらいます。同情心や涙には心
を浄化する力があるんですね。
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