金森藍加のケルト占星術
占術説明
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守護動物について

 ケルトでは、動物はインスピレーションや魔力を与える存在として、人間と非常に密なる関係にあり、祭儀や神話において重要な役割を担いました。それぞれの月を象徴する守護動物は、人間の抑えられた「本能」を呼び覚まし、「あなたの魂が求めている」ことについて教えてくれるのです。

守護動物の名称と意味

牡鹿(オジカ)

●1月の樹 牡鹿(オジカ)

 ケルトにおいて、牡鹿は高い理想、大望、達成のシンボルです。異界への入り口を守る守護動物であり、人間や動物、そして、自然の力における重要な仲介人としての役目を担っているのです。その枝のような角は周期的に生え変わるため、生命の若返りや新生、時の経過を意味し、魂の成長を表すとされています。

 また、牡鹿は、ケルトの神、豊穣(ほうじょう)のシンボルであるケルヌンノスでもあります。動物たちの王であり、鹿角を生やし、まわりにさまざまな動物たちを従えていました。デンマークの沼地から発見された「ゴネストロップの大釜」や、イタリア北部の世界遺産「ヴァル・カモニカの岩絵群」などにも角をもつケルトの神として描かれています。森に住むケルヌンノスは、お金でいっぱいの財布をもち、富をもたらす神としても知られています。

ドラゴン

●2月の樹 ドラゴン

 火の象徴であるドラゴンは、コウモリのような翼と、とげのある尻尾(しっぽ)をもった伝説の動物です。勇者たちの前に立ちはだかるドラゴンを倒した者が、財宝や美しい姫を得ることができるという物語は、古今東西にあるでしょう。しかし、ケルト神話のドラゴンは、「気高い勇者」のシンボルでした。

 ケルト神話では、「赤と白の二匹のドラゴンが、地底で戦っているため、ウェールズの祖先ブリトンに、さまざま困難がふりかかっている」と、大ドルイドである魔法使いマーリンが語っています。赤のドラゴンはブリトン、白のドラゴンはサクソン人を表わしており、両者の仲が悪い原因は、このドラゴンの戦いにあるというのです。

 このようにケルトには、ドラゴンとのつながりが深い神話が数多く残されており、ケルト系氏族や王などの称号としてペンドラゴン(竜の頭)が使用されました。今も、イギリス・ウェールズの旗には「赤いドラゴン」が描かれています。

海馬(ウミウマ)

●3月の樹 海馬(ウミウマ)

 上半身が馬、下半身が魚の姿をした不思議な生き物で、月のシンボルと言われています。sea horseと書きますが、タツノオトシゴのことではありません。

 海神の神秘的な特性は、まだかたちとなっていないエネルギーや力を象徴しています。それゆえ、不思議なかたちをした海馬となって、ダイナミックに海を駆ける存在として、見る者の心をかき立てているのでしょう。海馬はケルトにおいて動物芸術のシンボルであり、海神マナナン・マクリルが、海馬にまたがった姿も彫刻として描かれています。ちなみに、人間の脳で側頭葉の内側にある「海馬(かいば)」(主に記憶をつかさどっている)は、海馬の前肢のかたちに似ているところから海馬(かいば)と名づけられたと言われています。

鷹(タカ)

●4月の樹 鷹(タカ)

 大空を羽ばたく雄々しい鷹の姿は、若さとたくましさの象徴です。ケルトでは、英雄神ブランのシンボルとされ、神聖な動物と見なされていました。

 また、お告げをもたらす鳥として、戦いのときにも重要視されました。戦場を旋回する鷹は、勝利と死の前兆として現れ、あるときは吉祥として、あるときはわざわいの予兆として、戦士たちにインスピレーションをもたらしたのです。

 ケルト神話では、転生する話がたくさん出てきます。それは魂の死と再生の物語であり、鷹は光へと導いてくれる精神の至高を表しているのです。ケルト神話の舞台であるエリン(アイルランド)島に渡ってきたフィンタンは、大洪水が起こったときに、鮭、鷲(ワシ)、鷹などに姿を変えることで、ただひとり生き延びたと言われています。

蛇(ヘビ)

●5月の樹 蛇(ヘビ)

 成長するために脱皮をする蛇は、復活や再生の象徴です。ケルトでは、英雄神ブランのシンボルとされ、神聖な動物と見なされていました。キリスト教では忌み嫌われていた蛇の紋様ですが、ケルトにおいてはその曲線の優美さが愛され、また男のシンボルとして神聖視されていたのです。

 ドルイドの言い伝えにはこんな話があります。ヤナギの樹の下に、深紅の蛇の卵がふたつ隠されていました。一方の卵には、金と銀の卵黄が入っており、これが孵化(ふか)して、太陽と月になりました。そしてもう一方の卵からは地球が生まれたということです。

 5月1日に行われるケルトのお祭り「ベルティネ」では、太陽がもたらしてくれる作物の実りや動物の出産を祝います。お祭りのときには、深紅に塗られたニワトリの卵を、聖なる蛇の卵に見立て、食べたと言われています。

フクロウ

●6月の樹 フクロウ

 知恵と知識のシンボルであるフクロウ。神聖なる魔法の鳥と見なされていました。ケルトの神話や伝承、アーサー王伝説の中にも数多く登場し、大ドルイドである魔法使いマーリンの傍らにいて、賢者に知恵をもたらすものと言われていました。

 ケルトの人々がフクロウに知恵を見いだしたのは、その顔つきがどことなく人間に似ていて、目に強い力がこもっているからなのでしょう。

 また、フクロウは夜行性の鳥で、優れた視力をもち、静かに飛びながら不思議な声で鳴くため、不吉なもの、恐怖をもたらすものとして恐れられることもありました。アイルランドでは、フクロウを「Cailleach Oiche(夜の鬼ばあさん)」と呼びます。ケルトの三位一体「乙女・母・知性」を合わせもつ、老女の相を表していると言われています。

白馬(ハクバ)

●7月の樹 白馬(ハクバ)

 馬は、初期のケルトにおいて、コインなどにもっとも多く描かれていた動物です。神聖視されていた馬は、王族を含め、高貴な身分の証明でもありました。また霊魂は、黄泉(よみ)の国へ旅立つとき、馬の背に乗ると言われています。馬の女神として広く崇拝されていたエポナは、馬の背に横座りしていたとされています。現在の「ポニー(小型の馬)」という単語はこのエポナからついたものです。

 イギリスのアフィントンという小さな村の近くの丘には、今でも、大きな白馬の地上絵があります。これは、古代ケルト人によって描かれたエポナの象徴とされています。馬が緑の丘を駆ける雄大な姿は、大地と大空の融合を表し、永遠につながる時と生命を示しているのです。

ユニコーン

●8月の樹 ユニコーン

 すべての動物の中でもミステリアスな動物であるユニコーン。純白の馬の姿をしていますが、額の真ん中にはツノが生えています。ツノは長く鋭く、ケルトのシンボルであるらせん状になっています。ユニコーンは神聖、純潔、清純を表し、歌や詩、物語の中にも多く登場しました。

 ユニコーンという言葉の「Uni」は単一、「Corn」はツノを表します。彼らは群れになって暮らすことはなく、雄と雌が交尾のために出会っても、それが終わると、雄は孤高の世界に戻ります。雌は子どもと一緒に暮らしますが、子どもはツノが長く伸びきると、母親のもとを去っていくのです。彼らは頭が良く、とても警戒心が強いため、人をなかなか寄せつけませんでした。また、そのツノには、癒やしのパワーがあると考えられていました。

鮭(シャケ)

●9月の樹 鮭(シャケ)

 鮭は古くから、賢い魚のひとつとして尊敬される存在です。知恵の源泉であり、過去や未来を見ることができるとされています。

 ケルト神話には、鮭も多く登場します。フィアナ騎士団の頭領フィンがボイン河の近くで出会った賢者フィネガスの弟子となって七年がたち、成人を迎えようとするとき、フィネガスに命じられ、知恵の鮭「フィンタン」の調理を行いました。そのとき、フィネガスはフィンの顔つきが変わったのを見て、「鮭を食べたのか?」と質問します。フィンは「食べてはいないが、調理中に鮭の脂がはねて、親指をヤケドしたので、口に含みました」と答えました。その後、フィンが困ったときに親指をなめると、名案が浮かぶようになったのです。

白鳥(ハクチョウ)

●10月の樹 白鳥(ハクチョウ)

 白鳥はその美しさから、彫刻のモチーフとして多く用いられ、ドルイドの儀式用の容器にも描かれている魔法の動物です。神話には、人間が白鳥に変身するというストーリーが多くありますが、そのなかで白鳥はいつも重要な役割を果たしています。ケルトの白鳥伝説「リアの四人の子どもたち」は、嫉妬(しっと)にかられた義母が四人の王子や王女たちを湖に誘い、呪文(じゅもん)をかけ、白鳥に変身させてしまうという神話です。子どもたちが人間に戻れたのは、白鳥になってから900年後のことでした。

 また、愛と美と若さの神オィンガスは病気をもっており、それを治すことができるのは、ただひとり、カーという娘と言われていました。オィンガスはカーの住んでいる湖に行き、彼女に恋をしてしまいます。そして、結婚したいと願いますが、カーの父親に反対されてしまいました。しかし、ふたりの愛は強く、オィンガスとカーは白鳥に変身して、オィンガスの王宮へ飛んでいったのでした。その後ふたりは、ずっとその地で楽しく暮らしました。

蝶(チョウ)

●11月の樹 蝶(チョウ)

 蝶は妖精であり、妖精界と人間界をつなぐ役目をします。また、ケルトでは、蝶は死者も表しています。つまり、この世とあの世を浮遊している死者の魂を表しているのです。神話において、光の女神エーディンが魔法で蝶の姿にされてしまい、長い年月、この世をさまよう姿は、死ぬことができずこの世をさまよい続ける魂を描いたものなのかもしれません。

 そして、蝶は夢をもたらしてくれるものとも言われています。寝ているとき、私たちの魂は自由に空を飛んで、高次なる世界を旅しているのです。蝶の二枚の羽は、一方がこの世を表し、もう一方はあの世を表します。ふたつの世界を行き来する蝶は、私たちの知らない世界を夢というかたちで教えてくれるのです。

犬(イヌ)

●12月の樹 犬(イヌ)

 犬はふたつの側面を持ちます。ひとつは、人間と深い関係になり、親しみやすく、気品あふれる友人として保護者の役目をしてくれる面。もうひとつは、どう猛で、闇の世界に生きる動物としての側面です。光の部分において、犬は治癒力をもち、人間を病から助けてくれる存在ですが、闇の部分においては、人間に恐怖をもたらす存在となりうるでしょう。

 神話で有名な犬といえば、アンヌンの王、アラウンが飼っていた猟犬です。犬たちはアンヌンの犬と呼ばれ、幽霊犬でした。この犬たちは死んだ人やその魂を探すために夜、空を飛び回りました。

 ところで、犬がわけもなくほえるときは、不吉なものを察知して恐怖を感じているのだと言います。ケルトの人々は犬の危険察知能力を認め、悪いことを知らせてくれる神聖なものとして、大切にしていました。

黒馬(クロウマ)

●13月の樹 黒馬(クロウマ)

 黒い馬は、力と男性のシンボルです。ケルトの英雄ク・ホリンは愛馬として、黒のセイングレンドと、灰色のマッハという名の馬をもっていました。詩人たちの言葉によれば、「ク・ホリンがフォーガル領主の娘、アヴェールのもとへ求婚に行くとき、馬の頭は火を吹き、土煙はまるで鳥の群れのように、勢いよく飛んでいった……。そして、馬車にはたくましく美しい青年が乗っていた」と表現されています。黒馬は強くたくましい男性の象徴として、ケルトの人々に愛されていました。

 また、ケルト占星術では、白馬と黒馬を至点と考えます。白い馬は、夏至のシンボルであり、原始的パワー、古代の女性支配文化の象徴として、馬の女神リヒアンノンにささげられました。それに対して黒い馬は、冬至のシンボルとして、リヒアンノンの息子プリュデリにささげられ、再生の象徴として位置づけられています。
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